私が就職した病院は、大きな病院だったので、看護師だけでも同期は100人以上いた。最初の3日間は、新人看護師を大きな講義室に集め、新人研修から始まった。この時はまだ自分がどの科に配属されるかは決まっていない。私は同じ学校から受かった友達が4人いたので、5人で学生気分の延長で新人研修を受けた。
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新人オリエンテーションは、朝9時くらいから始まり、夕方の17時くらいまで。受身の講義なので緊張感は全くなかった。病院の理念から始まり、接客マナーや電話の応対などもあり、最後は看護技術の復習(医療器具の扱い方や寝たきり患者さんの動かし方など)まであった。
この3日間は、あとで思えば天国のような楽な期間だった。こうした気楽な新人研修はあっという間に終わり、いよいよ看護師としての厳しい生活が始まるのであった。
新人研修の最終日、いよいよ新人看護師全員の配属が発表された。新人看護師の前に、各科の外来・病棟のそれぞれの婦長が立ち、挨拶があった。婦長を見ると、見るからに怖そうなおばさん婦長もいる。友達と「あの病棟には配属されたくないね」などとこそこそ話していた。
そしていよいよ一人ずつ発表された。順番に名前と配属される部署を読み上げられる。私は新人看護師として配属されるなら、絶対に病棟が良かったので、「どうか外来でありませんように」と願った。
なぜ、外来でないほうがいいのか。やはり看護師として病棟の仕事を覚えておきたかったのである。外来と病棟ではやる仕事がかなり違う。病棟は夜勤もあるし、いかにも大変そうだ。できれば最初に大変な仕事を覚え、体力的にきつくなったら楽なほうにうつればいいと考えたからだ。
それともう一つ配属されたくない部署があった。産婦人科だ。なぜいやかというと、特殊な分野だからである。しかも、産婦人科だと働いている看護職は助産婦が多い。やはり助産婦の資格を持っていないと、できない仕事も多く、ただの看護師だと行き詰まりを感じる人も多いと聞いた。それに、将来のことを考えると、一般的な成人の看護を覚えておいたほうが後々役に立つのではないかと考えたのだ。
私なりに色々な希望を持ちながら、運命の配属を待った。そして私が配属されたのは、希望通りというのか、成人の急性期の病棟であった。とりあえず外来や産婦人科でなかったことにほっとした。
私と同じ学校から来た友達は、消化器外科、NICU(赤ちゃんのICU)、内科などへそれぞれ配属された。新人研修で友達になった子も数人いたが、その中には、いきなり耳鼻科外来などというマイナーな部署に配属され、「え〜、なんで病棟じゃないの?!」などと落ち込んでいる子もいた。
病棟でないことのショックに、夜勤がないということもある。夜勤がなくて喜ぶ人もいるだろうが、夜勤がないということは夜勤手当もつかないのである。1ヶ月で計算するとだいたい5万円くらい違ってしまう。これは生活していくうえで大きい。夜勤手当も見込んで生活費を考えていた子は、大きな計算違いになるのである。
とりあえず私はその心配もない病棟だ。婦長を見たら、若くて美しくて優しそうに見える。同じ学校から来た私の一人の友達は、あのいかにも怖そうなおばちゃん婦長の病棟に配属された。「けっけっけ、頑張ってね」などと笑って冷やかした。実際の病棟はどんな感じだかよくわからないが、明日からがんばるしかない、といった感想を持ち、新人研修は終わったのであった。
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