看護師の世界であれば、きっとどこでもそうだと思うが、新人看護師の教育にはプリセプターシップという方法が取られる。私たちの病院でもそうであった。プリセプターシップとは、ある期間、新人看護師一人に担当の先輩看護師が一人(あるいは二人)つき、仕事の教育・指導を行なう新人教育制度なのである。その先輩看護師のことをプリセプター、新人看護師のことをプリセプティーという。私たちの病院では、4月と5月の2ヶ月間、プリセプターの先輩と一緒に仕事をしていくのであった。(おそらく一般の会社ではOJTといわれているものだと思う。)
病棟はシフトで勤務が組まれており、もちろん全ての勤務をプリセプターの先輩看護師と組むわけにはいかない。時々、自分のプリセプター以外の先輩看護師と組んで仕事をすることもあるが、まあそれぞれの新人看護師の教育責任をそのプリセプターの先輩看護師が持つような仕組みである。
私には、二人のプリセプターの先輩看護師がついた。二人とも3年目の看護師で、私よりも年下であった。年下であろうと先輩は先輩である。看護師としての経験が全くない私にとって、私にはできない仕事をこなしている二人はとても大人に見えた。
最初のうちは、プリセプターの先輩看護師と新人二人で同じ患者を受け持ち、新人看護師にぴったりと先輩看護師がくっつき目を光らせた状態で仕事をしていく。このような状態で、点滴をつないだり薬を投与したりなど、直接患者さんの生命に関与する仕事を、危険のないよう先輩看護師から新人看護師へと教えていくのだ。
今の看護学校では、実習では患者さんの身体に直接影響を及ぼすようなことを学生にやらせない(まだ国家試験に通っていないので当然といえば当然だが・・・)。例えば注射をしたり点滴をつないだりするようなことだ。だから、はっきり言って患者さんの体に直接影響を及ぼすような仕事をするのは、これが初めてなのだ。だから、毎日が初めてのことばかり。点滴の溶き方からつなぎ方一つとっても、私にとっては難しく、覚えることも多く、必死で先輩看護師についていくという毎日だった。
はっきり言って、毎日の仕事があまりにも多すぎて、私は自分の中でうまく飲み込めないまま時間が過ぎていく、と言った感じだった。でも、どれ一つとっても人の生命に関する仕事である。だからよく飲み込めないで行動にうつすのは、とても危険なことだ。まあそのためにプリセプターの先輩看護師がついているのだろうが、毎日医療事故を起こさないようにするのがまず第一の目標になった。

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