
人の命に関わるという看護師の仕事のプレッシャーは、就職以前に考えていたよりもはるかに大きなものだった。私はそのプレッシャーの大きさに押しつぶされそうになっていた。そのうち仕事全体に恐怖感を持つまでになってしまったのだ。私には、看護師になる覚悟が足りなかったのかもしれない。
ある日勤の日の朝、患者さんの食事の配膳をしようとお膳を持って部屋に向かったところ、足が一歩も前に出なくなったこともあった。恐怖とストレスで本当に足が出なかったのだ。しばらくその場にたたずみ、深呼吸して自分に言い聞かせた。“ここで動けなくなり、具合が悪いと助けを呼び早退したら、私は二度とこの職場に戻ってくることはないだろう。だからがんばって動くんだ”と。
しばらくして、また歩き出すことができた。本当にあの時あのまま座り込んでしまったら、私はきっと辞めていただろうと思う。心が体を支配していると感じた出来事であった。
就職して1ヶ月たった頃には、初めての夜勤もはじまった。一番最初の夜勤は、プリセプターの先輩看護師にぴったりくっついて仕事の流れと内容を覚える、というものだったが、あまりの長さと大変さに、朝の日勤への申し送りの時に、朦朧としてしまい居眠りをしてしまうほどだった。
次の夜勤からは、もちろん自分もスタッフの一人として仕事をした。夜勤は日勤とはまた違った大変さがあった。何よりスタッフの人数が少ない。その少ないスタッフで全てに対応しなければならない。それに往々にして、“夜間せん妄”という言葉があるくらい、夜おかしくなる患者さんが多いのだ。それに対応する大変さといったら・・・。夜の病棟には、昼間とは違ったプレッシャーと怖さがある。ちなみに、4年たった今でも、夜勤が怖いというのは変わらない感想だ。
これらの大変さが原因で、私には看護師の仕事が恐怖となっていった。しかも、夜はあまり眠れない。やっと眠れたと思うと、仕事の夢を見てうなされたりする。こんな状況だと人は健康的な精神を保てないもので、私はどんどんネガティブ思考になり、私の自尊心はどんどん低くなっていった。
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