こんな思いで生活していたある日、ちょっとだけ私の方向を変えてくれる小さな出来事があった。それは、私の病棟に入院していた患者さんの家族から手紙をもらったことだった。その患者さんとは長く深く関わったわけではないのに、家族が私に手紙をくれたのだ。
手紙の内容は、私の看護師としての対応に対する感謝のものだった。私はその手紙を読み、泣いた。私の存在を認めてくれる人がここにいた、という証明だったからだ。自分ほどだめな看護師あるいは人間はいないと思っていた時に、この人は私に小さな希望をくれたのだ。
この手紙を読んで、私はもうちょっとだけ看護師をがんばってみようと思ったのだ。一人でも私を認めてくれた人がいたから、あとちょっとだけがんばって生きてみようと思ったのだ。まさに地獄に仏の状態。ちょっとだけ看護師としての人生に希望の光が見えた瞬間であった。
この手紙の後も、辛いことはもちろんたくさんあった。何度も辞めたいと思ったし、自分は半年も続けられないのではないかと思った。しかし、そんな私が今まで看護師を続けてこられたのは、患者さんのお陰だといっても過言ではないだろう。
その後も、自信をなくし落ち込んでいる時、孤独を感じている時などにタイミングよく、患者さんや患者さんの家族が私に勇気や励ましの言葉をかけてくれることがたびたびあったのだ。
私はよく、「入院し不安になっている時に、あなたの笑顔でどれだけ救われたことか」というようなことを言われた。この言葉で、自分は笑顔が長所だと思い、看護師としてたいした仕事はできないけど、仕事の時は笑顔を絶やさないよう意識するようにもなった。
またある時には、私が大きなミスをしでかして、胃に穴があくほど悩んだ時、自分は今度こそ看護師失格だと思ったこともあった。でもその時もたまたま患者さんの家族に「あなたは看護師が天職ですね」と言われ、たとえお世辞だとしても私にとっては救いの一言になったこともあった。
こうして、何度もだめになりそうになりながら、でも絶妙なタイミングで患者さんの偶然の励ましがあり、どうにか人生を、そして看護師を続けていくことができたのだった。
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