プリセプターシップの期間が終わり、ちょっとだけ楽になった私。その後も看護師の仕事が大変なことに変わりはなかったが、仕事が終わった後、先輩看護師とその日1日の振り返りを行うこともなくなったので、大分仕事は早く終わるようになってきていた。
それに、時間がたつにつれ、少しずつできる仕事も増えてきた。そして、半年たった9月になると、少しだけ看護師としての自信のようなものが湧いてきている自分がいた。またちょっとずつ時間にも心にも余裕のようなスペースが芽生えてきていた。
でも、まだこの時期は看護師の仕事が辛くてきつくて仕方がないのには変わりなかった。だから、私はちょっと芽生えてきた余力を使って、必死になって自分の気持ちが少しでも楽になる方法を探すようになっていった。
まず、病院とは別の世界を持つことから始まった。このまま病院だけが私の世界のすべてである、という生活を続けていたら、自分がだめになってしまうと思ったのだ。病院の世界が全てだと、ここがだめになると私の人生が破綻してしまうと思ったからだ。
最初の数ヶ月にくらべ、体力的にも時間的にもちょっとだけ余裕が出てきた。本来なら新人看護師は最初の一年くらい、看護の勉強だけに専念すべきなのかもしれない。でも私の場合、そんなことをしていたら間違いなく精神的に行き詰まってしまっただろう。精神衛生上、看護師以外のことに関わる必要が私にはあったのだ。
そこで、昔大学生の頃第二外国語で習っていた中国語をまた始めることにした。仕事が不規則な私は、レッスンを自由に受けられるNOVAの中国語を始めたのだ。中国語を選んだ理由は、もちろん中国が好きでまた旅行したかったのもあるし、あとは病院の患者さんで中国人がけっこう多いこともあり、仕事でも役に立つのではないかと思ったからだ。
それと私は海外旅行が好きで、英語の勉強もしたかったので、英語の会話だけを楽しむチケット制のクラス(たしかvoiceというクラスだった)も取ることにした。こうして私は仕事以外の世界をもつことによって、自分の精神のバランスを取ろうとしたのであった。
これは、成功であった。中国語のレッスンももちろん楽しかったし、英会話のクラスも、色々な職種や立場の人が来ていて、話をしているだけでとても楽しかったからだった。病院とは違う世界の人と人間関係を結ぶことで、気分転換にもなるし、新たな刺激にもなったのであった。
こうして私はまた一つ、仕事の辛さを乗り越える術を見つけたのであった。それでも当たり前だが、仕事に対する恐怖みたいなものは消えない。それに私はまだこの頃には、先輩看護師に色々怒られていたこともあり、職場の人たちには自分の心を閉ざし続けていたのだ。
先輩看護師たちみんなに私は一定の距離を置いてしまっていた。自分が心を閉ざしている限り、相手にもそのことは自然に伝わるから、私は中々病棟の人間関係に溶け込めずにいた。私は必死で色々な本も読んだ。少しでも楽になれるよう、精神面について書かれているような本を中心に読みあさった。そんな時、私の人生をまた大きく変えてくれるようなある本に出会ったのだ。
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