このように後輩看護師が入ってきたから楽になった、ということばかりではないのだ。どの世界でもそうだが、人に教えるということはとても難しいことでもあるのだ。私もプリセプターをやってみて強く感じた。
まず自分がわかっていないと人には教えられない。だから必然的に勉強が必要になる。そして頭でわかっているつもりでも、人に説明するとなると意外によくわかっていなかったりすることもあるので、人に教えることを通して、自分の頭の中をまとめるという作業も必要になってきたりする。
でも、このように教える作業をすることによって、自分が得た知識がより頭の中に定着しやすくなるので、他人に教える作業というのはとても重要なことだと思った。得た知識を自分の中で反芻してまたそれを還元することによって、初めて自分の知識として完成するものなのかもしれない。だから教える機会があったら積極的にそれを生かしたほうがいい。病棟で積極的に自分が勉強会を開催するとか、院外の勉強会や学会に行った際にはそこで学んだことを病棟に還元するとか・・・。このようなことをする場合には、もちろんさらに調べたり資料を準備したりなど大変なことはいっぱいあるかもしれないが、そうやって知識は確実に自分のものになっていくのだ。勉強会に行って終りだと、その場所ではわかったつもりになっていても、後で振り返ると案外忘れていたりよくわかっていなかったりすることがあるのだ。だからせっかく学んだことを自分のものにするためにも、この過程は重要だったりするのだ。
話を後輩看護師に戻す。後輩看護師を教える難しさは、人間だから当たり前だが、それぞれみな性格が違うということだ。けっこう強く怒られても「すみませ〜ん、ウフ」みたいにまったくこたえていないように見える子、頑固な子など様々だ。これら性格の違う後輩看護師たちをうまく育てていかなければならない。これがまた難しい。人を教えることを通して自分も成長するもんだと日々実感した。
私が1年目の看護師の時、先輩看護師に厳しく叱られ病棟に自分の居場所がないように感じ、日々辛い思いをしたので、後輩看護師に同じ様な思いをさせたくはなかった。しかし看護師もプロの世界なので、なあなあな教え方ではいけないのだ。プロとしての厳しさを教えるのと後輩看護師に人間として温かく接するそのバランスが難しいと私は感じた。
結局4年間働いてみて、自分の後輩看護師への教え方が良かったかどうかなんてまったくわからない。あんなに厳しい先輩看護師が嫌で絶対自分はああにはならないと思ったのに、忙しい時にいらいらして後輩看護師を怒ってしまったことも何度もあった。その時は必ず自己嫌悪に陥り、自分の人間としての心の狭さを感じたりした。
しかしながら、私も後輩看護師を教える立場になるまで病棟に残っていて良かったと思う。何度も自己嫌悪に陥ったり、経験を積んでいるにも関わらず簡単なことも知らずに恥をかいたりしたこと、どうやったら後輩看護師にモチベーションを持ってもらえるか色々悩んだこと、そういうことを通して私は確実に看護師としても人間としても成長していったと思うから。
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