居心地が悪くなる実家

居心地が悪くなる実家

たまにある不規則な休みに、私はできるだけ実家に帰るようにした。
東京の一人暮らしの狭くて味気ない部屋にいると、より一層辛くなり孤独感が増すので、なるべく自分の大好きなところに行くことにしたのだ。

 

そのうちその実家も居心地がいいものではなくなっていったのだ。
私が看護師として就職する数年前に私の姉が結婚した。
そして就職してすぐの5月に妹も結婚した。
3人姉妹だったので残るは私のみ。
しかも、いつまでたっても好きなことばかりしていて、突然海外に一人で旅行に行ったりする私は、親にとって心配の種だった。

 

やっと看護師として就職したので、あとは結婚するのみだ、と親は考えていたのだ。
しかも妹まで結婚してしまったから、親にとって私はとても不憫な娘に見えたのだろう。
実家に帰ると、結婚の話ばかりをされるようになった。

 

私に彼氏ができたことも知っていたので、「彼と結婚しないのか」と帰るたびに責められた(親は責めていたつもりはないのだろうが、私はそう感じた)。
私だって結婚したかったのは山々だ。
しかし、彼は私よりも5歳も年下なのである。
私の中で、5歳も年上の私が結婚の話を切り出すのはタブーだったのだ。
だって、30歳を目前にした年上の私が、就職したばかりの彼にそんな話をしたら、間違いなくプレッシャーになる(脅しになる?)と思ったからだ。

 

しかし、親はそんな私の気持ちを理解してくれない。
私もプライドがあったので親には本当の気持ちを言えなかった。
だから、口では「いいの、私は結婚なんてしたくないんだから。
一生独身でいい」なんて強がりを言っていたのだ。

 

すると親は私に「人間、絶対に結婚したほうがいい。
子どもだって生んだほうがいいんだ」などと説教してくる。
そんなことは私が一番願っているのに、できないんだからしょうがないだろーって心の中で叫んだ。
結婚は一人でするもんじゃないんだぞ、相手がいるもんなんだぞ、って声を大にしていいたかった。

 

こうして、実家にも帰りたくなくなっていった。
親に結婚の話をされるたび、「どうせ私は結婚もできないだめな人間です」と自分を卑下する思いがどんどん強くなっていった。

 

結婚したばかりの幸せそうな妹を見て、妹がとても遠くに感じた。
去年まで妹と一緒に住んでいて、狭くてぼろいアパート暮らしだったけど、とても楽しかったことを思い出した。
するとそれだけでも、妹が遠くにいってしまったような気がして涙が出てきた。

 

その他にも私たち3姉妹は本当に仲が良かったので、3人ともまだ実家に一緒に住んでいた頃楽しく話したり遊んだりしていたことが、はるか昔のことで、もう二度と戻れない幸せな時だと思うと、それだけでも泣けてきた。

 

こうしてあらゆることが理由で、毎日毎日、看護師の仕事が終わって狭いマンションに帰って、一人で泣いていたのだ。

 

仕事もだめ、人間関係もだめ、彼にも頼れない、家族にも見放された(勝手にそう思ってた)となると、私はもう生きている価値はない、と本気で思うようになっていった。
友達にも会う気がなくなり、ほとんど仕事以外の友達に連絡をとることすらなくなっていった。
唯一私の話をわかってくれたのは、同じ病院の看護師の同期だけだった。
同期のみんなも看護師の仕事で苦労しており、私の気持ちを理解してくれる唯一の存在だったのだ。

 

でも、そんな看護師の同期でもみんな私よりも仕事ができるようにみえたので、自分の孤独感や自己否定感をなくしてくれる存在にはならなかった。
こうして、私はとても孤独な日々を過ごした。
休みの日もあまり人とは会わずに一人で過ごすことが多かった。
仕事が終わって誰も迎えてくれない寒〜い家に帰ると、暗〜い音楽を聞いて一人で泣く、という日々が続いた(あまりにも暗い・・・)。

 

そして、私は次第にお酒に逃げるようになっていった。
次の日が仕事だと朝また寝坊する恐れがあったので、そういう時は飲まず、休みの前日の夜、浴びるようにお酒を飲むようになっていたのだ。

 

もともとお酒が好きだったことに拍車がかかり、飲む量は日増しに増えていった。
不眠症だったこともあり、酔っ払ってぐでんぐでんになって眠りたかったのもあった。
一人で狭いマンションの部屋で、暗い音楽を聞きながらお酒を飲み、泣いて世の中や周りの人を恨む、といったあまりにもひどい生活をその頃の私は送っていたのであった。

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