仕事のプレッシャーで不眠症になる
私は、このような過酷な状況で、本当に心身まいってしまった。
最初の1ヶ月は日勤しかなかった。
毎日寝不足の連続で、しかも体はへとへとに疲れている。
こんな中、私はある日遅刻をしてしまったのであった。
ある朝、気がついたら7時20分だったということがあった。
目覚まし時計はまったく聞こえなかった。
普段ならとっくに病棟で情報収集をしている時間である。
時計を見たとき、自分の目が全く信じられなかった。
「これは何かの間違いだ」「お願いだ、夢であってくれ〜」と願ったが、残念ながら現実であった。
私は病院から自転車で20分くらいのところに住んでいたので、7時45分の申し送りに間に合うか間に合わないかぐらいの時間だった。
とにかく婦長に電話をし、寝坊をしたことを伝え、慌てて家を飛び出した。
ぎりぎり申し送りには間に合ったが、遅刻をしていった私に先輩看護師達の冷たい視線が集まった。
情報収集をまったくできない状態で仕事に入る辛さ。
どうにかその一日の仕事は無事に終わったが、一日中まるで針のむしろ状態であったのはいうまでもない。
こうしてこの遅刻は、私の心に大きなトラウマとして残った。
あまりにも恐ろしく、この日以来私は不眠症になってしまったのだ。
仕事で疲れ果てているにも関わらず、次の日が日勤だったりすると、怖くて眠れないのだ。
仕事の恐怖と寝坊をするのではないかという恐怖で、頭だけがさえてしまう。
肉体労働であるので、眠れないと次の日辛い、それに寝不足で仕事をしたら集中できない、“医療ミスをしちゃったらどうしよう〜”と焦れば焦るほど眠れなくなる。
本当に本当にこの不眠症は辛かった。
人間眠れないと、精神状態にまで影響してくる。
仕事の辛さと先輩看護師達の厳しさ、それに不眠症が加わり、私の精神状態は日増しに鬱状態になっていったのだ。
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